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【ナニコレ信州企業#3】世界が認めた創業370年!の酒造会社「湯川酒造店」

  • 2022.10.24
  • 2022.10.24
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こんにちは!大しごとーくin信州2022、実行委員会広報チームのこはるです!

今年の大しごとーくは11月12日(土)に開催します。そして今年は記念すべき5回目の開催で、参加企業はナント80社!
我々広報チームでは、その中から特徴ある企業・団体5社をピックアップして紹介する「ナニコレ信州企業に会いに行く!」を企画しました!

▼第2回「キッセイコムテック」さんの記事はこちら

▼「大しごとーく」の概要はこちらの記事もチェック!

今回は木曽郡木祖村の日本酒を造る「湯川酒造店」さんに、私・こはると同じ広報チームのしいなチャンとお邪魔してきました。創業は慶安3年…1650年!?だそうで、ナント370年を超えています!

迎えていただいたのは代表を務めていらっしゃる16代目の湯川尚子さんです。
応接に通され、まず目に留まったのは「GOLD」と記載された英語表記の表彰状でした。

これはイギリスで毎年開催されるインターナショナルワインチャレンジ(以下IWC)の日本酒の部で、2020年にゴールド(金)メダルをいただいたときの表彰状です。

IWCは、世界最大規模でもっとも権威のある酒類のコンペで、「お酒のオリンピック」とも呼ばれているそうです。このIWCの日本酒部門で、ゴールドメダルを獲るってことはすごいことですよね。

でも残念ながら2021年はブロンズ(銅)メダル、今年2022年はシルバー(銀)とブロンズそれぞれ1個で、ゴールドには手が届きませんでした…。

えっ?湯川さん、毎年メダルを獲っていらっしゃるのはスゴイ事なのではないでしょうか!

当社のお酒を認めていただいたことは、とてもありがたいことです。しかしこの木祖村は、実は日本酒を造る条件が他の地域と変わっていて、日本酒を造りづらい部分もあるんです。まず地形が谷に囲まれ、平地が少ない事で日本酒の原料となる米作りができないんです。だから当社は他の地域の米を仕入れて仕込んでいます。これは逆に地元米に縛られることなく、各地の多種多様な米を試すことができるというようにポジティブにとらえています。

確かにお酒に限らず「地元産の〇〇を使用」という言葉は聞きます。

もう一つ、この場所の標高は936mもあり、厳寒期はマイナス18度まで下がることもあるんです。酒造りは秋口から初春までの寒さを利用して造るのですが、寒すぎることは逆に条件が悪くなるんですね。でも逆にこういう環境だからこそ、湯川酒造店だからこその酒造りができると考え、当社なりの様々な工夫をしながら当社らしい酒造りを行っています。

次の時代に繋げる為の社員全員の手による酒造り

私が社長を引き継ぐまでは、歴史ある酒蔵ゆえの卓越した技術を持った職人=杜氏(とうじ※1)による伝統的な酒造りを行っていました。でも私自身は杜氏がもつ職人技・感覚に頼る酒造りには違和感を感じていました。それは確かに卓越した技術ではあるのですが、でも同じ会社の中で共に働く社員と共有されていなかったし、そのやり方はこの先ずっと続けられる酒造りとは思えませんでした。

「伝統」という言葉を聞くと、守り続けていくものという風に思われがちですが、湯川さんにとっては足かせのようなものだったんですね。湯川さんが代表になられてからはお酒造りをどのように変えられたんですか?

いろいろ変えてきましたが、考え方としては、例えば出来上がったお酒を瓶に充填(瓶に入れる)する前に瓶を洗浄するという工程があります。とても地味な仕事で軽視されがちなんですね。でも出来上がったお酒を入れる瓶が汚れていては元も子もありません。だからこの工程はとても大切で重要な仕事と私は考えていました。こうした仕事も含めて、私は「社員全員で酒造り」を目指し、少しずつ実現させていきました。

湯川さんのこうした考え方…「伝統」にこだわることなく、変えるべきことは変える!という考え方はどこから来ているのでしょうか?

私は社長という立場で社員とその家族を守っていかなければならないという責任がありますし、またこの地域と共に歴史を積み重ねてきた会社なので、地域に対しても責任を感じています。だからこそ次の時代に『湯川酒造店』をキチンと繋げていかなくてはなりませんし、そのためには『杜氏の感覚』だけに頼る酒造りではなく、酒蔵に勤めるみんなの手による酒造りが必要不可欠と考えています。

伝統も大切ですが、未来につなげ持続させていくことの方を優先したんですね!

はい、そうです。ではその湯川酒造店の酒造りの現場を見学してください。

はい!お願いします!

私もしいなちゃんも、お酒造りの現場を見るのは初めての体験です。
聞けば日本酒造り工程は酒類の中でも最も複雑なのだそうです。確かに見学させていただいた工場内の道のりは複雑に感じられました。

お話を聞いていると、湯川さんが凝らした工夫があちこちにちりばめられているようでした。お酒を移すにも工場内の高低差をうまく利用する工夫とか、できるだけ空気に触れさせないように流す工夫とか、貯蔵場所を外気温の影響を受けにくいところにすることで消費エネルギー最小限にするとか…そんなお話を伺っていると湯川酒造店さんの造られる日本酒がとてもおいしそうに思えてきました。

そしてこのタンクが仕込みの工程で、発酵を促す酵母を大量に増やした酒母というものに、麹・蒸米・水を3回に分け、ゆっくりと発酵させる「三段仕込み」を行うタンク…との事です。

あまり…というか、殆ど知らない日本酒の事。日本酒を造る「人」とお話ししたことさえ始めてのことでした。お話を聞いて思ったことは伝統を守り続けることは大切なことだけど、もっと大切なことは、ここに関わる人のために繋げて残していくという事で、その為には伝統さえ壊していく「勇気」を持つ事が大切であるという事を学びました。

ここに書かせていただいたことは、お聞きしたことのほんの一部でしかありません。
11月12日(土)の大しごとーくに、長野県酒造組合の若葉会として湯川酒造店さんが参加されますので、是非足を運びお話を聞いてください!

湯川酒造店の湯川さん、ありがとうございました。


※1)杜氏:酒蔵での日本酒造りの一切を取り仕切る責任者を杜氏という。現在では、日本酒メーカーの社長や社員が杜氏を務める蔵もたくさんあるが、元来の杜氏は、春から秋にかけて自身の出身地で農業を営み、農閑期の冬になると部下となる蔵人(くらびと)を引き連れ、契約した蔵に住み込んで酒造りを請け負ってきた。こうした日本酒造り独自の働き方を「杜氏制度」という。

企業情報

社名株式会社湯川酒造店
本社所在地長野県木曽郡木祖村薮原1003-1
会社設立1990年10月
資本金1,000万円
社員数10人
Webサイトhttps://yukawabrewery.com/

大しごとーくへのご参加お待ちしています!

開催日時2022年11月12日(土) 9:30~12:30(予定)
開催会場信州大学松本キャンパス第一体育館+オンライン
参加企業・団体長野県内外で活躍する企業・団体 約60社
対象者高校生・大学生

▼大しごとーくへの参加申し込みはこちらから▼

この記事を書いた人

こはる

こはる

信州大学人文学部3年。英語学専攻。小説を書いたり漫画を読むことが好きなインドア人間。

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