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【先生名鑑】若者が信州に“関わる”仕組みを創る|勝亦達夫

  • 2024.04.14
  • 2024.04.14
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こんにちは!<ずま>です!

信大のリアルな動きをみなさんに発信していきたいと考え、今回から連載企画をスタートします。その名も、先生名鑑シリーズ。この連載では、大学や企業、地域に関わる面白い人を、人生の”先生”としてインタビュー形式や対談といった様々な形式でご紹介します。

第一弾は、勝亦達夫さん。今回は先生の取り組みの中の一つ「若者会議」について中心的に取り上げます。どうやら、若者が長野県に関わり続けるために奮闘しているのだとか…まちづくりの第一線を走る勝亦先生に、4年間続けてきたからこそ見えてきたことは何かを聞いてきました!

新しいことを始めてみたいけれど、何をしたら良いか分からない…

まちづくりとか、地域に興味がある!

そんな人には必見の記事になっております!ぜひご覧ください。

※長い記事ですので、お好きなところからお読みください。

今回お話しを聞いた先生|信州大学 勝亦達夫さん

よろしくお願いします!最初に自己紹介をお願いします。

勝亦達夫と申します。信州大学キャリア教育サポートセンターで講師を務めております。

静岡県出身。東京理科大学理工学部建築学科卒。平成17年より小布施町と東京理科大学が共同で設立したまちづくり研究所員として活動。平成23年に博士号(工学)を取得。同年より小布施町役場勤務し、景観・まちづくりなどを担当。平成28年度日本建築学会賞・教育賞を受賞。平成28年から信州大学キャリア教育・サポートセンターの助教を経て講師となる(現職)。人材育成(キャリア教育)と地域づくりを実践しながら、地域課題を産官学の協働で解決するため活動している。専攻は建築歴史・意匠、まちづくり。

▼過去に掲載された日本経済新聞の記事はこちらから

華々しい経歴です…!色々聞いてみたい!

紹介|「高等教育コンソーシアム信州」と「大学連携事業」

早速ですが、今回のテーマである『信州若者会議』について教えていただけますか?

はい!信州若者会議とは、企業の方々と対話を通じて、信州での働きや暮らしの魅力を共有し、地域の発展につなげる取り組みです。2012年から始まった小布施町を中心としたまちづくりムーヴメントが始まりで、信州全体の若者が関わる流れを生み出すことを目指しています。

小布施町から始まった、若者会議のムーブメント

どのような取り組みの一環で行われているのでしょうか?

高等教育コンソーシアム信州』の一貫です。平成20年に設立しました。目的は、学生教育の成果と教育研究の還元を通じて、県や地域の発展に貢献すること。具体的には、大学間ICTネットワーク講義システムの整備や授業配信、そして単位互換による連携活動を通じて、学生の支援や教育の向上に取り組んでいます。

「大しごとーく」が誕生のきっかけだった

そもそも、信州若者会議が始まったのは、どのようなきっかけがあったのですか?

信州若者会議は、文部科学省の「知(地)の拠点大学による地方創生事業(COC+)」の一環として、信州大学・長野大学・松本大学と長野県や県内経済団体と共に取り組んだ「大しごとーく」という学生と社会人の交流企画がきっかけで始まりました。  

国の事業を長野県内の大学や各種関連団体が手を取り合っているのですね。

2018年に「大しごとーく in 信州」が始まりました。就職活動の枠を超えて、学生のやりがいや地域の魅力、そして学生の「なぜ」に答えるトークを通じて、魅力的な企業との出会いと理解を深めることを目指してきました。

しかし、ある時から、
「せっかく若者と企業が知り合うことができても、次のステップがない。インターンシップなどの機会はあるが、課題やプロジェクトを通じてより地域や企業に関わる機会がほしい!」
という切実な声が聞こえてきました。ならば「若者がやりたいこと」と「企業や地域・自治体の課題」をマッチする次のステップのしごとーくを企画しようということで、「大しごとーくadvance」という名称をつけていました。
これが、信州若者会議の前身です。

▼「大しごとーく」について詳しい内容を知りたい人はこちらをチェック!

大しごとーくが前身だったのですね。

大しごとーくでは、学生と企業のカジュアルな対話が行われる

若者が地域に根付く鍵は「対話」にある

魅力的な取り組みを数多くされている勝亦先生ですが、
そもそも、「地域」という文脈で、現状にどのような課題感を感じていますか?

長野県における人口・産業人材不足の課題です。

といって教えていただいのたのは、若者の県外流出について。日本の各地方と同様、長野県の若年層人口(10~20代)の転出超過20歳~24歳の流出は多く、卒業時に県外へ出て就職をする傾向が続いているそうです。他の地方大学、地方都市と同様、卒業時の県内就職による若者の定着促進を目指していました。

この課題を解決するために大切なことは、どのようなことだと考えていますか?

「知る」機会に触れることだと考えています。地域でも地域でも、人でも、企業でも、その魅力に触れると、より自分の将来を具体化することにつながっていくと思うのです。様々なキャリアや社会人を見たときに、そこに住まなかったとしても人生のどこかしらで関係人口として関わりたいと思う若者がいたら、嬉しいですね。

なるほど…とても興味深いお話です。確かに、私の経験を振り返ってみたときに同じような経験があったかもしれません。というのも私の場合、地域に目が向き始めたきっかけは、そこに面白い人がいたからなんですよね。そこで生きる人たちの“かっこよさ”に触れたというか…面白い大人への憧れが、意外と地域への入り口だったかもしれないです。

いいですね。人との出会いというのは、人生を左右する起点になりうるんですよね。まさに、それを実現できる仕組みとして、本題である『信州若者会議』はおすすめですよ!

活動|信州若者会議4年間の取り組み

分かりました!では本題に入りましょう!
まず最初に、取り組んできた4年間の全体像からお聞かせください。

2020年度から2023年度まで、長野県全域をフィールドに会議の場を広げてきました。
具体的には、こんな感じ。

2020年度松本
2021年度松本、伊那、長野、白馬
2022年度松本、伊那、長野、白馬
2023年度松本、小布施町、辰野町

少しずつ、地域が増えていくのが見て分かります…
では、一つずつ紹介をお願いします!

【2020】全てが始まった最初の一歩(松本)

初年度は、松本から始めました。

◾️背景
初年度は松本での実施。35歳以下の若者を対象にして、若者会議実行委員会を結成し、松本市の町歩きから始めて地域を知ることを目指しました。その後、企業課題を考えるワークショップを通じて、課題解決に取り組むとともに、本会議の組み立てを試行錯誤しながら進めました。

◾️活動内容① 松本市長×小布施町前町長の対談
2月の本会議では、若者会議の発祥地である小布施町の前町長や松本市の市長をお迎えし、まちづくりに関する想いや若者への期待について話し合いました。

共通していたのは、「今をもう一度捉えなおすこと」。それは、見る視点、多様性や歴史をもう一度見直すということ。新しいものを創り出すために、現在を自分自身の目で捉えることの重要性をお話しいただきました。
そしてもう一つは、「繋がること」。1人ではできないからこそ、仲間や組織、地域とつながる大事さでした。今はオンラインというツールもあり大変便利になりました。だからこそ、 相対すること、現場できることの価値はますます重要になっていいると教えてくださいました。

御二人とも、本当に真剣に、まだまだ未熟な次世代の若者達に熱を込めてお話しいただきました。これが、起源となり、その後各地の信州若者会議に展開していくこととなります。

◾️活動内容① 企業課題解決プログラム

対談にプラスして、事前に設定された松本市に関連する8つの地域/企業課題を解決するアクションプランを検討する3日構成のプログラムも実施。充実した議論や企業の皆さんとの対話もでき、いくつかのプロジェクトを実施していこうという流れも生まれ充実した会議が開催できました。

【2021】コロナ禍でも着実に(松本、白馬、伊那/長野)

コCOVID-19の感染拡大による活動制限に見舞われた2年目は、県内4地域で実施しました。

◾️概要・背景

松本若者会議
「居場所」
伊那若者会議
「食」
白馬若者会議
「環境・教育」
担当サザンガクAmeberLabしくみ株式会社

2020年に発生したCOVID-19は、大学生活、地域での活動に大きな変化と制約を及ぼしました。そこで求められたのが、「今までを捉え直し、自分で地域や社会の未来を描くこと」でした。集合知と実践知をもって現在の状況を乗り越えていこうと意気込んでいました。

◾️テーマ
『居場所』『環境・教育』『食』をテーマに設定しました。偶然にも、コロナ禍で大きな影響を受けたこれらのテーマにおいて、地域が抱えている課題をローカル(現場)で共有し、地域の資源として価値を再定義しました。

白馬若者会議

コロナ禍の影響を大きく受けた会議の一つとして、白馬若者会議を取り上げます。環境や観光を比較しながら知るには最適な地域でしたが、非常事態宣言、活動自粛はもちろん、白馬村は国際リゾート地で、海外からも屈指の人気のエリアで人の往来ができず、当時は大変厳しい期間を過ごしました。

2021年度は、コロナ禍ながら有志で実施。ゼロカーボンを学ぼうということで、「スキー場はどのくらいCO2を排出しているか?」という課題を体験するため、CO2の重さを雪で表現し、子どもたちと「雪クジラ」をつくる体験学習をおこないました。簡単なようで実は難しく、雪の単位堆積あたりの雪の重さから、くじらの容積を割り出し、スケールを決めて重機を動かすということを行いました。白馬村の重要な観光資源であるスキー場などは、一方でCO2の排出など環境負荷も高いというのを学び、近年の温暖化により雪の量が減るなどの影響が出て、無関係の問題ではないと考えています。現地でこうした知識を得ながらアクションに変えていくという実践を白馬では行ってきました。

2021年度は、感染拡大防止のために活動制限で何度となく中止や見直しとなりました。せっかく交流しても、お互いに顔が見えないまま活動しているようなことも多かったですが、そんな中でも学生同士が対話し、企業の課題を聞き、自分たちでできること、やりたいことは何を考える姿が見えたことが、何よりも希望でした。

【2022】カタチになった3年目(松本、白馬、伊那/長野)

メディアでも取り上げられるようになった、3年目です。

環境にやさしい地域の交通を考える|白馬若者会議2022

◾️背景
白馬村では、環境負荷の少ない観光資源を構築すべく、ゼロカーボンや循環型経済の仕組みを村内で検討していました。

◾️テーマ
環境を学び観光や課題となっていた、地域の交通を考えるテーマを設定しました。

◾️活動内容
移動における環境負荷の低減と、多くの地域の課題でもあった交通課題からこれからの観光施策に関わる会議を企画。白馬村の持つ魅力(施設や場所)は、移動課題によって住民や観光客に届きにくくなっている現状がありました。それに対し白馬村では、AIを活用した次世代交通サービスの実証実験実施を行い、これを体験しながらプロジェク創出を図ることにしました。

◾️結果・成果
ここでの交流をきっかけとなり、現在白馬村では、市町村の地域課題をビジネスで解決する「おためし立地チャレンジナガノ」で、令和3年度に長野県が企業とのマッチングを支援し、事業化した白馬村プロジェクトとして夏と冬に継続的なデマンドバスの実証走行が行われています。産官学によるプロジェクトに展開し、AIオンデマンド乗合タクシーによる観光交通の最適化を目指す事業です。CO²削減等の効果も見込まれるほか、福祉等他分野への応用も期待されています。

この取り組みは、2023年度の冬も継続し、信州大学として関わっている取り組みではありますが、アルピコ交通㈱、SWAT Mobility Japan㈱、BIPROGY㈱、アルピコタクシー㈱、アルプス第一交通㈱、白馬村観光タクシー㈱の共同研究事業の場として展開をしています。

▼各種メディアに取り上げられた内容はこちらから
https://www.pref.nagano.lg.jp/ritti-it/happyou/230630hakuba.html
https://response.jp/article/2023/03/08/368422.html
https://kyodonewsprwire.jp/release/202311303623
https://terasu.biprogy.com/article/challenge-hakuba/
https://l-pass.jp/news/1986/

学生が企業インタビュー|松本若者会議2022

学生が企業インタンビューを行い、そこから課題や企業課題の根本(解決すべき要因)を探りその解決、をするためにアクション(実践)をするという新しい取り組みも行いました。株式会社井上百貨店様信濃毎日新聞株式会社様にご協力いただき、実際に取材およびページ作成を実施しました。

▼取材した内容はこちらから

【2023】新たな若者活動の文化を創る(小布施・辰野でも開催)

新たなチャレンジを増やした4年目は、さらに開催地域が増えました。

2023年度は2年間の実績と経験をもとに、①インターンシッププログラム②若者チャレンジプログラムの2プログラムを実施内容に設定し、地元企業・地域・若者が連携し、新たな松本の文化を創っていくプラットフォームをつくっていくことを目指しました。この取り組みには、松本市役所の新設された、地域まちづくり課ユースサポート係と松本市教育委員会青少年ホームも協働いただき、実施しました。

松本若者会議
「トトノッテミソ」
小布施若者会議
「じぶん・しごとLAB」
辰野若者会議
「新たな商店街像を企画」
信州防災学
「災害レジリエンス養成講座」
担当(一社)KOKO(一社)小布施町イノベーションHUB(一社)○と編集社日本笑顔プロジェクト
受入先井上百貨店、
松本市役所 ほか
小布施牧場、
システムアプリケーション
辰野町、
やまとわ ほか
日本笑顔プロジェクト
分野情報、起業、観光キャリア観光、インフラ環境、防災

地元企業の魅力発信・発掘に挑戦|松本若者会議2023 「トトノッテミソプロジェクト」(松本市)

◾️背景・目的
2022年度実施した「企業と繋がるスキルアッププロジェクト」をベースに、地元企業の魅力発信・発掘および地元学生の企業への理解を深める・個人のスキルアップを目的としたインターンシッププログラムを企画しました。

◾️テーマ
地元サウナ施設3社(ゲストハウスしましま・タビシロサウナ・林檎の湯屋おぶ〜)製作のオリジナルサウナ飯レトルト食品を題材に販路開拓、認知拡大を目的とした課題解決型インターンシップ

◾️活動内容
井上百貨店およびアイシティ21を運営している株式会社井上と地元サウナ施設3社(ゲストハウスしましま・タビシロサウナ・林檎の湯屋おぶ〜)と共同で実施。導入として、製作に関わっているデザイナーやコピーライターの話、小売現場の見学。その後、実際にどのように販路および認知拡大していくかを1チーム3〜4人を組み企画を考え、実際にその施策が有効かどうかを検証するトライアルの場として、信毎メディアガーデン等での販売会を企画・実施しました。

オーナーシップを持った人材を|じぶん・しごとラボ2023(小布施町・長野市)

◾️テーマ
自身の想いに向き合い、じぶんの想いからしごとを自身の力で作っていく力を養うことを目的に開催しました。

◾️活動内容
学生にとっては、自分に合った就職先や就職の仕方を見つけるきっかけを探し出す。企業にとっては、学生との対話を通じて、企業の文化や価値観を共有し、学生にとっての企業の認知度(知っているからどういう企業かがわかる)を向上し働くイメージの“解像度”を上げるため企画として開催されました。

卒業後3年で離職する率が高い現在の社会の中で、「なぜ働くか。どうしてこの会社が良いか」を考える機会と思考を持つヒントを得る。学生が自分の想いを追求し、企業との対話を通じてオーナーシップを持った人材が増えることで企業が向上し地域社会にも良い影響を与えると考えています。

最終的には、自身の想いを起点に仕事をする学生や、充実感を持って働く企業の若手が増え、地域に人材が定着する土壌・環境をつくることを目指しました。

地域の資源価値を再定義する|辰野若者会議(辰野町)

◾️背景
長野県辰野町では、シャッター通りとなってしまった商商店を飛び飛びでも再び開け、トビチ商店街という新たな価値観で商店街をつくってきました。老舗も新店舗も閉じたままの店舗もひっくるめて、地域としての「楽しい」をつくろうとしてきました。これにより、少しずつ移住者が来て、新しいお店ができて、外から来た人が泊まれる場所もできました。

◾️テーマ
人の流れが少しずつ生まれてきた今、飛び飛びの拠点・お店を繋ぐ「トビチ商店街2.0」を、今考える必要があると考え、今回、辰野町の課題を考える機会をきっかけとし、若者による新たなアクションを起こすことにしました。県内の大学生が、辰野が抱えている課題をローカル(現場)で共有し、地域の資源価値の再定義、持続可能な資源活用の在り方を主体的に考える場として実施しました。

◾️内容
実際に実践しているローカル人材からインプットを受け、企画の立て方、書き方、実践の仕方を学び、自分のアクションプランを書いてみました。自分の考えを言語化する機会とし、現地でのフィールドワークを通してトビチ商店街の課題を捉え、リブランディングの全体の方向性を示した企画書を作成しました。

◎3/19(第0日)
午後1時からまち歩きを実施。辰野駅~商店街~TOBOX(辰野町辰野1704-1)までリノベーションされた店舗やアート会場として使われたスペース、現在進行中のプロジェクトを見学しました。
辰野町のインプットの時間には、一般社団法人○と編集社 代表理事でコミュニティアーキテクトの赤羽孝太さんから、トビチ商店街のこれまでの取り組みから、企画の目的・目標、コンセプト、プロセスの中で何が課題でどう解決してきたのかを、実践例を用いてお話しいただきました。人口減少をマイナスでとらえるだけでなく、その状況の中で何ができるかといった、見方の変化も必要ということを示していただきました。

◎本会議1日目(3/20)の企画書の書き方講座&アイデア提案作成
特別講師として、トビチ商店がプロジェクトにも参画していた、PicoBirds代表、LOCAL WRITE主宰の磯木淳寛さんに講義をしていただきました。磯木さんは、千葉県いすみ市で、小商いの事業創出を支援し、中学生に「自由の教室」という主体的に考える教育プロジェクトを実践して磯木さんから、持続し循環する企画の在り方をお話していただきました。
午後には、一般社団法人○と編集社、株式会社やまとわ取締役の奥田悠史さんより、企画書を書くために必要な、コンセプト、5W2Hのノウハウを実践例とともに解説していただきました。自分がやりたいことを突き詰めると、地域のためになる企画とはどんなものなのか、ご自身の取り組みを例に伝えてもらいました。

◎2日目(3/21)企画提案の発表
自分がやりたいコンセプトから、できることを企画書として形にしてみました。辰野若者会議では、すでに動いている地域プロジェクトに対し、学生がやりたいと思ったことをインターンシップとして受け入れ、滞在場所、機会、人をマッチングしながら自分たちの事業にも繋げることをPBLとして実践しています。地域の事情や課題をよく理解し、自分たちも企業として実現していきたいことを、学生の動きに合わせてコーディネーション、実践機会を提供しています。今回提案されたものも、次年度の夏のインターンシップのきっかけとなり、地域、企業、学生にとって良い循環になることが期待されています。

災害に備える防災力を身につける|信州防災学・ 災害レジリエンス養成講座2023(小布施町)

◾️背景
若者会議の新たな展開を目指し、県内大学生が共通のテーマで学べるような授業を構築していく、そのきっかけとしての若者会議を構想しました。信州において、どの大学においても共通のテーマ・課題となるようなものとして「防災・減災」があると考え、講座(3/18)と実習(3/30)の授業を試行的に実施しました。

◾️テーマ
気候変動の影響による大雨や台風災害、また1月1日に起こった能登半島地震などの地震災害など、近年100年に一度といわれる激甚災害が、毎年のように起こっているような状況です。長野県でも令和元年の台風19号のよる水害や、諏訪・白馬など各地でがけ崩れや水害が頻繁に起きてしまっています。本企画では、災害に備える防災力と、災害時また災害後に速やかに復旧活動に動くことのできる(意識を持てる)人材の育成を目指します。

◾️内容
これまでに実際の災害現場に入って復旧ボランティアの活動してきた方を講師に迎え、現場で求められる知識や行動力、マインドを座学として学びました。実習では、基本的なアームの操作、掘削方法、移動・排土板、積載の操作、整地、埋め戻し、丸太等の撤去の方法や技術を習得しながら、災害現場を想像しながら、どんな作業ができるのかを、体験する機会となりました。 1月1日発生した能登半島地震の復旧状況や現場で起きていること、必要な備えなど、リアルな現場の様子も学びながら、平時のうちにいかに非常時を想像し、普段から使い慣らしておくことが重要か、学びました。

▼今回を講師をしていただいた日本笑顔プロジェクトについてはこちらから
https://egaonowa.net/

展望|汎濫停蓄(はんらんていちく)の場づくり

ここまで、本当にさまざまな取り組みを紹介していただきました。そしてどれも、地域にとっても学生にとっても企業にとっても、新しい発見を見出すきっかけになっていただろうなという印象です。

魅力的な地域企業が見えること、またリアルな体験を経験することが何より印象や認知度を向上する効果があることを感じています。

さらに、活動の幅は広がっていきそうですね。
最後になりますが、改めてこれからの展望をぜひ教えてください!

私は、信州若者会議を立ち上げた最初の企画書に「汎濫停蓄(はんらんていちく)の場づくり」という言葉を書きました。汎濫停蓄とは、「汎濫」は水が漲り溢れることで、転じて、深く広い学識を持っていいて広く物事に通じること。「停蓄」は水が長く溜まること。転じて、学識が深いことの喩えです。川の水の勢いの如く若者が活発に動き、そこで学んだ知識や経験が集まり、実践知が深まるような場所が、長野県の各地、大学や企業を問わず関わり実現していくことを目指し目標として掲げました。コロナ禍を経て、変革が激しい社会や難題が山積する地域に対し、まだまだ対応できないことも多く先を見通すことも難しいですが、何とかしたいと思う人材こそが、この状況を突破していける大きな資源であると考えています。信州若者会議、また大学間連携事業が、そのきっかけとなるよう、私自身も微力ながら引き続き取り組んでいきたいと思います。

勝亦先生の思い描く支援と活動と人の循環図

素敵な決意表明です!私もできる限り力添えさせていただきます!
本日は貴重なお話をありがとうございました!

感想|地域への一歩は、きっとかけがえのない財産になるはず

いかがでしたでしょうか?

アプローチ方法は違えど、私も勝亦先生同様、学生が地域に関わるきっかけを届けたい!と思って活動しています。この記事執筆もその一環です。なぜ、そう思うのか。それは、私が地域に関わることで人生の方向性が見え始めたという経験があるからです。私は特段、学生に対して「地域に関われ!」というような無理なことは押し付けるつもりは全くありません。ただ、せっかく長野県に来たのであれば、そのフィールドを活用しない手はないと思っています。ちょっと目を外に向けてみると、必ずどこかに惹かれる企業、人、地域というのはいると思っています。まだ、知らないだけ。そんな人との出会いというのは、きっとかけがけのない財産になっていくと思っています。自分の将来がより見えやすくなったり、自分の興味や才能がわかったりするきっかけになるからです。

私の周りには、「将来が不安だ…」と本音を漏らす知り合いがたくさんいます。もしかしたら、これを読んでいるあなた自身がそうかもしれません。そんな人にこそ、ぜひ地域に足を踏み出しみてほしいです。きっと、それは、あなたの人生にちょっとした変化を与えると思うから…どこかでこの記事を読んだ若者と出会えることを、楽しみにしています!

ここまでお読みいただき、ありがとうございました!

告知|「学生活動支援補助金」を活用し、新しいチャレンジを!

ここで皆さんに朗報です!

高等教育コンソーシアム信州では、学生活動を支援する制度「学生活動支援補助金」という制度があります。これは、地域に貢献できる活動や高等教育コンソーシアム信州加盟校の複数の大学で取り組む活動等、学生が主体となって行う活動を支援し、1件につき支援金額6万円、複数大学で実施する場合には10万円が補助されるというもの。

「何か始めたいのだけれど、お金がない…」という方は、ぜひ活用してみてはいかが?

▼詳しくはこちらから!
https://www.c-snet.jp/activity

この記事を書いた人

ずま

ずま

シンダイガイド3期メンバー。 とにかく色々なことに挑戦することが大好きな理系学徒。趣味は“自然に触れ合うこと”と”旅”。 多くの人に有益な情報を届けられるように日々奮闘中!

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