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【信州わかもの企業発掘隊】長野発のものづくりが、世界の「食」を救う「株式会社デリカ」

  • 2024.04.24
  • 2024.04.22
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こんにちは!外部ライターの<こはる>です。

私は、塩尻市のNPO法人MEGURU・松本商工会議所が主催する「短期取材型インターンシップ」に参加し、企業の魅力を探るべく会社見学や社員さんへ取材を行ってきました。

今回紹介するのは、2023年に70周年を迎えた松本市の会社、「株式会社デリカ」さん。「デリカブランド」の農業用機械を設計・製造し、全国や海外に届けています。

「デリカブランド」の農業用機械

「デリカブランド」を持ち、大きな機械の設計から営業まで一貫して行う、デリカならではの工夫や挑戦が気になります!

実際に見学し、社長さんや社員さんのお話を伺うと、農業従事者の希望に丁寧に応える熱意が感じられました!また、デリカのものづくりは、世界の食の問題解決をも見据えているようです。社長のグローバル規模の使命感や、気になる実際の働きやすさについて、詳しく伺ってきました!

「デリカブランド」の農業用機械って?

そもそも農業用機械は使ったこともないけれど、工場見学でうまく理解ができるのだろうか……

私が伺う前に抱いていた不安は、実際の見学で払拭されました。案内してくださったのは、総務部課長の輿さんです。機械部品の加工、溶接から塗装、組立までの一連の流れを、工場内を巡りながら分かりやすく説明してくださいました。

デリカで作る機械は大型で、顧客の要望に応えられるよう、種類が多様です。一日の中でも異なる製品を、異なる作業工程や部品を用いて作っています

広い工場内に、何種類もの大きな部品が整然と置かれ、それぞれの過程を担う社員の方が、火花を散らしながら真剣な眼差しで作業をしていました。
一歩工場の外に出ると、並んでいるのは完成した大きな機械です。完成品が実際に見られることは、作られている製品を理解する上でとても役立ちました。

これはマニアスプレッダといい、田畑に肥料を撒くための機械です。デリカの主力商品のひとつです

赤が映える、大きな機械ですね!輿さんによると、機械の後方には肥料を撒くための羽があります。羽の形だけでも数種類あるのは、お客様である農業従事者の要望に応えるため。

お客様によって、肥料を撒きたい場所の大きさも、濃度も変わります。注文に応じて、羽の大きさや形を変えることで、ニーズに合った肥料の撒き方ができるようにしています

お客様の意見を拾いながら、それぞれのニーズに合った機械を作ることができるのは、実際に顧客とコミュニケーションを取り、自社製品の設計から製造まで担うデリカだからこそです!

一方で、その強みを最大限に生かす上での大変さも伺うことができました。自動化が、現在直面している挑戦のひとつ。デリカの多様な製造工程をすべてロボットに任せるわけにはいかないのだと、輿さんは説明してくださいました。

お客様の求める質と量を達成するためには、自動化が求められます。一方で、当社の製品はロボットが得意とする大量生産ではないものも多くあります。午前と午後で異なる作業が必要な時もあり、反復作業ではないため自動化が難しいのです

積極的に自動化を進めながらも、人の手が求められる工程は、スキルを持った社員が分担し、担当しているそうです。

また、多様な機械を扱うからこそ生まれるのが、製造スペースの問題です。

2021年に本格稼働した第二工場は、それまで不足が懸念されていた製造スペースを確保し、お客様に求められる品質や量を確保する上で、必要不可欠なものでした

そう教えてくださったのは、デリカの5代目代表取締役である金子孝彦社長です。第二工場の重要性を話してくださいました。

自動化・省力化を進めた第二工場では、三点リンクを製造しています。三点リンクは、トラクタと農業用機械を繋ぐ製品です。実際に農業用機械を動かすために欠かせません。

第二工場が無事に稼働でき、3点リンク製造の質や量を確保できた時には、ほっとしたと話されていました。

輿さんや金子社長のお話から、大型の農業機械を自社で設計・製造する大変さに直面しながらも、顧客のニーズに応えられるよう、デリカが進化を続けてきたことが伝わってきました。

よりよいものづくりが、世界の食糧危機を打開するわけ

デリカは、コメ作りの盛んなタイにも工場を持っています。進化するデリカを通じ、国内外の農業を支える、社長の熱意の根源はどこにあるのでしょうか。金子社長が社長に就任したきっかけ、挑戦を続けられてきたストーリーを伺いました!まず驚いたのは、30年以上、異なる職種で働かれていたということです。

代表取締役社長の金子孝彦さん

商工会議所で30年以上、中小企業の支援に取り組んでいました。ずっと、企業への究極の支援とはなんだろうと考えていました。

商工会議所でのキャリアを続けることを考えていたという金子社長が、デリカで働くことを決めたのは、デリカの先代社長の言葉がきっかけでした。

先代社長から、社長として企業を発展させて、社会貢献に繋げることも支援ではないかと言われたのです。その言葉にはっとして、先代社長に誘って頂いて、デリカに入社しました

新たな業種に飛び込むことは大変だったのではないですか?

そうですね。知識はある程度あったものの、デリカのものづくりを実際に経験する中で、学ぶことは多くありました。一方で、商工会議所で働いていた当時から、『一年一ライセンス』を習慣にしていたことが役立ちました

一年一ライセンスを自ら掲げ、一年に一つは資格を取るように、勉強をしてきたという金子社長。仕事に関係する資格から趣味の資格まで挑戦を重ね、忙しい中でも勉強習慣を忘れないようにしたそうです。

異業種に飛び込むことの難しさを経験しながらも、これまでの学びを生かしながら、社長としてのありかたや、デリカのものづくりを身につけてきたという金子社長。企業を発展させ、それを社会貢献に結びつける究極の支援を、デリカで体現しようとしていることが伝わってきました。

金子社長は、デリカだからこそできる社会貢献として、世界の食糧不足を解決したいという想いを語ってくださいました。

私たちが効率的に食物を作れる機械を作り、国内外の多くの農業従事者に使ってもらえれば、より沢山の食糧が生産されます。そうすれば、世界で問題になりつつある、食糧不足の問題が和らぐことに繋がるのです。デリカが作る製品は、世界でどんな時も必要とされる食物生産に繋がっています

製品の品質を高めることで、食という、世界規模の課題解決に寄与できる。長野発の「デリカブランド」で、グローバルな問題に取り組んでいく展望に、気づけば夢中になっていました!

挑戦を続ける社員さんにとって、デリカの魅力とは?

世界の食糧不足解決に貢献できるという、グローバルな使命も魅力的な一方で、毎日の働きやすさも気になるところです。実際の働き方についてお話してくださったのは、製造部の速水康輔さんと、飯嶋怜央さんです。

私は資材調達や、出荷の管理を担っています。

私は機械の製造を担当しています。主に摩擦溶接機という機械を使っていますが、先輩の仕事を手伝うなど、他の機械や製造過程も担えるよう日々スキルアップをはかっています

速水さん(右)は入社5年目、飯嶋さん(左)は7年目とのこと

日々どんなことにやりがいを感じていますか?

調達した資材のコストや品質が、会社の利益に直結することです。よりよい資材調達ができるよう、仕入れ先の会社様とのやりとりを通じ知識と経験を磨いてきました。自分の仕入れた資材が製造に使われ、製品として完成するまでの過程を見られるのは嬉しいことです

新たな作業工程を任せられて、ミスなくできた時にやりがいを感じます。日頃からスキルアップを図り、できなかった仕事ができるようになるように努めているので、実際にできたときは嬉しいです

それぞれの業務を通じ、よりよい仕事ができるよう挑戦している姿勢が伝わってきます!スキルアップのために新たな仕事を覚える時や、新たな機械を扱う時には、苦労されることもあるのではないでしょうか。

分からないこともありますが、その際には先輩に聞くようにしています。先輩は優しく、何でも聞いてと言ってくれています。機械の点検の関係で作業を前倒しで終わらせなければならなかった時、先輩に手助けしてもらったことも印象に残っています。

私の部門も同様に、分からないことを聞きやすい雰囲気です。コミュニケーションが取りやすい会社だと思います

日頃から先輩と雑談で冗談を言い合ったり、ご飯に行ったりする関係が築けているそうです。分からないことも先輩に聞きやすく、挑戦しやすい環境になっていることが伝わってきました。社会人として一歩を踏み出す学生にとっても、先輩に聞きやすいことは励みになりますね!

学生のみなさんも、学校を卒業し、新しい仕事に就く時には不安もあると思います。ただ、困ったときには先輩が助けてくれます。周りとのコミュニケーションを学生の時から意識していると、社会人になってからも役立つと思います

地域での毎日の業務に対し、成長しやすい環境が整っていることが分かります。その環境下で、日々の業務で挑戦を重ねる社員の皆様が、実は農業用機械の提供を通じ、世界の「食」を支えています。「長野発のものづくり」と「世界の食」との関連性に、思いがけない魅力を感じました。

学部問わず、思いやりと挑戦心を持つ人歓迎!

デリカの経営理念は「恕新誠創」。「恕」は思いやりという意味です。金子社長は、ともに働きたい人は、恕新誠創を大切にできるような、やる気のある人だと話されていました。

工学部出身でなくても、入社後にスキルを身につけられる環境は整っています。人の気持ちが分かる思いやりのある人や、チャレンジ精神のある人を歓迎します!

チャレンジ精神を持って新たなことに挑戦する時、思いやりのある先輩に相談しやすい職場になっていることは、速水さんと飯嶋さんのお話から伝わってきました。「恕新誠創」を体現するような職場環境になっているようです。

先輩とコミュニケーションをとりつつ、スキルアップをはかりながら、日々よりよいものづくりのために挑戦できるデリカ。長野発のものづくりで、世界の農業や食に貢献できるとと心惹かれたのも、デリカで働く皆さんの熱意に触れたからかもしれません。

企業情報

社名株式会社デリカ
本社所在地〒390-1242 長野県松本市大字和田5511番11
会社設立年月1953年4月
資本金95,000千円
社員数160名
Webサイトhttps://www.delica-kk.co.jp/

この記事を書いた人

こはる

こはる

信州大学人文学部3年。英語学専攻。小説を書いたり漫画を読むことが好きなインドア人間。

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