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【ナニコレ信州企業#1】髪の毛の断面に0.05mmの穴を開ける!?ダイヤ精機製作所

  • 2022.10.08
  • 2022.10.24
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コンニチワ!大しごとーく実行委員会広報チームのぎんです!

今年で5回目となる大しごとーくは11月12日(土)に開催します。今年の参加企業はナント80社!我々広報チームでは、その中から特徴ある企業・団体5社をピックアップして紹介する「ナニコレ信州企業に会いに行く!」を企画しました!

第1回は岡谷市の「ダイヤ精機製作所」の超スゴ技をレポートします!

▼第2回「キッセイコムテック」さんの記事はこちら

▼「大しごとーく」の概要はこちらの記事もチェック!

髪の毛の断面に0.05mmの穴を開ける!?

直径わずか0.08mmの髪の毛の断面に、直径0.05mmの真円の穴を開けることができる企業が岡谷市にあるらしい!?

今年11月12日開催の大しごとーくに、人の髪の毛の断面に穴を開ける技術を持つ企業が参加するとの情報が飛び込んできた。人の髪の毛の太さは約0.08mm。そこに0.05mm穴を開けるとはどのようなことなのだろうか?実際に訪問して確かめてみた。

穴を開けた髪の毛の断面

その企業は、岡谷市にある「ダイヤ精機製作所」。主に精密部品加工をメインにしていて、超が付くほどの高精度加工を強みにし、試作品等の多品種少量生産を得意としている企業だった。

その技術力を求め、多くの大手企業や様々な研究機関がダイヤ精機製作所の門をたたく。オーダーを請け負う加工品の中には、時速350kmの極限状態の中で競われるF1マシンに使われるエンジンのコア部品や、宇宙空間を寸分の狂いもなく飛ぶロケット部品なども過去にはあったらしい。

また、次世代の燃料電池自動車に使われる部品なども、メーカーと一緒になって秘密裡に試作が繰り返されているらしい。まさにテレビドラマの「下町ロケット」の世界が長野県のほぼ中央、諏訪湖のほとりで繰り返され、社員数が200人にも満たない中小企業が、日本を代表する数々の大手製造メーカーと対等にビジネスを展開している。

【強みその1】ビックネームのメーカーと対等に渡り合う超高精度加工

量産ではなく、試作がメインとなる小ロット生産を得意とし、超高精度加工のオーダーが次から次へと舞い込む。ビックネームのメーカーと対等に渡り合うダイヤ精機製作所。

取引先企業の一例

なぜ長野県の社員数160名程度の中小企業が、人の髪の毛の断面に穴をあける技術を持ち、そしてロケットやF1レーシングカーの部品を作ることができるのだろうか?その経緯を確かめに、私は実際にダイヤ精機製作所に足を運んだ。

まずはじめに経営企画室の北出さんより、会社の概要についてお話を伺った。

弊社・ダイヤ精機製作所は、製糸産業が盛んだった岡谷市が精密産業都市に移り変わろうとしていた、戦後間もない昭和26年(1951年)に創業しています。
ダイヤ精機は創業当時から、弊社にしかできない事、オンリーワンを目指し、精密加工を中心にしたものづくりを行っていました。ベースとなる技術は、精密切削加工技術を基軸としたものづくりで、研究開発や試作、高度な生産設備等における少量で高い信頼性が要求される加工品を作るのが得意です。

…そんなに昔から精密加工への道を歩んできたことに少々おどろきを感じる。

次に、営業技術部技術課技術チームのチームリーダー杉本主任にお話を伺う。

弊社は試作品の製造を多く手掛けています。世の中には新たな製品が続々出てきますが、正式に製品化され、量産に入る前の評価テストで使われるものが試作品です。試作品は量産で一定の品質レベルを保つために量産時の何倍もの高い精度の品質が求められます。ダイヤ精機にはそのニーズに応えることができるだけの技術力があるのです。

なるほど、量産の何倍もの精度が試作品段階で実現されるからこそ、量産時の品質が保証されるんですね!

その後場所を移動し、超高精度切削加工を実現する「BISSIAH(ビサイア)」という機械を見せていただいた。

説明は製品部製品技術チームの中山さん。職人のオーラを感じさせる方だった。

この機械が髪の毛の断面に穴をあけた機械です。実際に作動させてみますから、よーく見てくださいね。

…ん?動いている?動いているようにはまったく見えないのですが?

穴をあけるドリルが小さすぎてその動きが全くわからない。これがビサイアの名の語源になっている微細な加工なのか!

これが見せていただいたドリルの先端だ。ドリルというより針にしか見えない。

聞けば、ミリメートルの下のマイクロメートルの規模で加工をすることができるそうだ。マイクロメートルとは、10のマイナス6乗m、つまり1mmの1/1000の大きさである…意味が分からなかった。

その後、再び杉本さんの説明を聞きながら、工場の隅々まで見学させていただいた。

ダイヤ精機製作所が多品種少量生産に特化しているだけあって、工場内には同じ機械が何台も並んでいるのではなく、それぞれの用途に特化した専用の加工機械が幾種類も置かれていた。ダイヤ精機製作所が試作品の製作に特化するため、極めて高い難易度の要求に高い技術力で対応するため、結果的に多様な機械が導入されるに至った環境を実際に目にすることができた。

技術者がもつ技術とこうした設備環境があるからこそ、これまで世界的メーカーと対等に渡り合うことができるのだと、納得させられた。

こうした技術や設備環境から生まれた、私たち一般人も手にすることができる製品を見せていただいた。それは「コマ」である。このコマはなんと10分以上!も回ることができる超精密コマであり、人気ユーチューバーのHIKAKINもYouTubeの動画で取り上げている。

このコマは製造業が盛んな諏訪圏域の企業が集まり、子供たちにものづくりの楽しさを伝えるために企画され、製造・販売されているとの事だった。

【強みその2】チャレンジ精神旺盛な社長が生み出す「らしさ」

取材当日は代表を務める小口裕司社長ともお会いすることができたが、後日改めてオンラインでお話を伺う機会をいただいた。この機会を通じて、ほかに類を見ないダイヤ精機製作所のビジネスモデルの原点は、代表を務める小口裕司社長のチャレンジ精神にあると感じた。

私は社員にいつも『面白そうと思ったことはどんどん挑戦しなさい』と発破をかけ、新しいことに積極的にチャレンジできるマインドを作っているつもりです。他がやっていないことに挑戦するのだから、失敗して当たり前。でもリスクを恐れずに挑戦し、失敗したとしてもその経験から学べることは大いにありますよね。
おかげ様で多少のリスクはあっても、まずはやってみるという気持ちを持った社員が育っています。しかし自分で発破をかけてこう言うのはなんですが、こんなにしんどいことを皆よくやっているなと時々感心してしまうんですよ。

小口社長が「挑戦しなさい!」と発破をかけながら、挑戦を続ける社員の働きを見て感心していることに、小口社長のユニークさを感じた。逆にそのようなユニークな人柄を持つ方が会社のトップに立っているからこそ、ダイヤ精機製作所が大手企業と台頭に渡り合えるのではないかと感じた。

小粒ながらも、大手企業と対等に渡り合うダイヤ精機製作所。長野県にもこんな会社があるのだと、貴重な気付きを得ることができた取材でした。

企業情報

社名株式会社 ダイヤ精機製作所
本社所在地長野県岡谷市長地片間町1-4-20
会社設立昭和26(1951)年5月1日
資本金4,000万円
代表取締役社長小口 裕司
従業員数160名(男129名、女31名)
平均年齢44歳
Webサイトhttps://daiya.co.jp/

大しごとーくへのご参加お待ちしています!

開催日時2022年11月12日(土) 9:30~12:30(予定)
開催会場信州大学松本キャンパス第一体育館+オンライン
参加企業・団体長野県内外で活躍する企業・団体 約60社
対象者高校生・大学生

▼大しごとーくへの参加申し込みはこちらから▼

この記事を書いた人

ぎん

ぎん

しごとーく実行委員会広報担当。ストラテジー・デザイン人材養成コース1期生、環境マインド実践人材養成コース4期生。長野生まれ長野育ちの信州人。大学に行きながら町役場で働いているよくわからない人。

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